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情報のリパッケージでストックされたコンテンツが再び価値を得る


Dictionary of the Frisian Language - Word archive by Hindrik S
Attribution-NonCommercial-ShareAlike License
今回も佐々木俊尚氏のメルマガの特集記事を読んで考えさせられたので、共有をば。

「佐々木俊尚の未来地図レポート 2014.6.30 Vol.302 特集1 過去のコンテンツを「リパッケージ」するという新しいメディアビジネス~~ニューヨークタイムズの内部報告書にみるメディアの未来(3)」
本記事は、メルマガ297号、299号に続く、ニューヨークタイムズの内部報告書に基づいた佐々木俊尚氏の分析記事です。

第1回では破壊的イノベーションによって新聞社の地位が新興のネットメディアに脅かされていること。第2回では、読者に記事を届けるために、オーディエンス・ディベロップメントを編集局の責任にすべきで、さらには1400万件以上ある過去記事を有効活用できていない、ということについて解説されています。

気になる方は、バックナンバーをご覧ください。

これを受けて、今回の第3回では、過去記事の有効活用について説かれています。

過去記事のアーカイブは、はじめたばかりのブログでもなければ、それなりの規模でストックされています。
けれど、それらはただ記事を置いてあるだけで、あとは検索流入を待っているだけになってしまっています。

これってすごい機会損失になってますよね。
せっかくの儲けの種を、ただほったらかしているんだから。

このあたりの施策をとても上手にやっているのが、雑誌アプリのFlipboard(フリップボード)。たとえばFlipboardはしばらく前に、「2014年に亡くなった著名人」という特集をつくり、これはFlipboard史上最も読まれたコンテンツになったとか。そしてこの死亡記事の寄せ集めのソースは、実はニューヨークタイムズだったんですね。タイムズが書いた記事のアーカイブを、Flipboardがうまく「リパッケージ(再構成)」して、読まれるコンテンツに変身させたということなのです。ニューヨークタイムズとしては「どうしてわれわれの記事をリパッケージするだけで、他のプラットフォームにこれだけ利益が行っちゃうんだ!」と叫ばざるをえないでしょうね。

ほんの少しの工夫とアイデアで、儲かりの種にしてしまう。
誰かが書いた記事を再パッケージすることで、別な価値を与えてしまう。

引用部分にあるとおり、著名人の死亡記事というのは、それ単体ではそれ以上の価値はありませんが、「2014年に亡くなった」というコンテキストを付加しただけでアクセス数の記録を更新してしまうほどの破壊力を秘めているワケですよ、奥さん。

これに乗らない手はないですぜ、ということでニューヨークタイムズもやっちゃいます。


ニューヨークタイムズは、ニック・クリストフが書いた売春についての記事をリパッケージし、1996年~2013年のあいだの7本の記事を「売春宿の内側で」というシリーズにまとめています。7本の記事は単なる過去アーカイブになっていてこれまではほとんど読まれていなかったのですが、リパッケージによって最新記事と同じぐらいかそれ以上の読者数を獲得するのに成功したそうです。公開初日にはアクセスランキングが8位になり、公開から6日後にもページビューは減らず、トータルのビューは46万8106に達しました。

すごいですね。6日で46万。ウチのブログの何年分だよ(笑)

連作モノとか、調査報道したものなんかは、すごく馴染みやすいので、こうした取り組みは他社にも波及していくでしょう。(ただし日本国内メディアを除く(笑))

こうしたまとめ記事によって、記事に新たなコンテキストを付加する、というメディアも登場している、と佐々木俊尚氏は指摘します。


このあたりの試みが一部行われているのがNaverまとめだったりするわけなのですが、今後はこうしたリパッケージのサービスやメディアというのがより戦略的に行われるようになれば、さらにネット上のアーカイブの価値を高めていくことができるのではないかとわたしは考えています。


古くは2ちゃんねるのまとめブログなんかも、この部類ですね。
大手さんだと誰かが書き込んだポストをまとめただけで、笑っちゃうようなアフィリエイト収入があるという話も聞きますし。

この「第三者が作成したコンテンツへの動線づくり」で対価を得るメディアは、元記事を作成した人にとっては実に面白くないお話です。新聞社が1記事あたりにかけているコストを勘定すれば、きっと大手ITベンダーの人月単価もかくや、といった計算になるんじゃないかと勝手に妄想してしまいましたが、そんだけコストを掛けた記事で、他社の懐をも潤してしまうのが、インターネットの7不思議。

まとめ記事を書くキュレーターが選別したことで、アクセス流入を稼いでいる部分もあるので、まぁ、持ちつ持たれつという側面もあるのは確かでしょうが、まぁ、面白くないですよね。

一部のニュースアプリでは、配信元に対価を払う方向性も出てきましたので、追随する動きもこれから出てくるのかもしれません。

しかしながら、この対価を支払うという方向性についてはちょいと疑問もあります。

ニュースアプリ側は広告収入を得て儲かっていますが、ニュースソース側もページビューは稼げているワケです。
儲かっているのは、お互い様なワケなのですが、悔しかったら自分でまとめ記事作ってみたら良いのに。とか考えるのですが、なんでやらないんでしょうかね?
少なくともニュースタイムズでは成功した事例もあるというのに、これに乗らない国内勢のビジネス感覚がちょい理解できません。

大手メディアなら、少人数の専門部署つくってもお釣りが来るくらいのアクセス稼ぎになるようなまとめ記事とか作ればいいのに。
たとえば、重大事件を発生から時系列で追っかけるだけのまとめページ。なんてのがあれば、後からネタについていくことも容易になります。事後に事件報道の検証したりとかもできるし、年数が経てば同時代の報道における論調とかを調べるのもできますよね。

他社にやられる前に、自社でやっちゃえば、その分の儲かりにつながると思うんですけどね~。

ほっとくと、キュレーションメディアとニュースメディアを仲介する、なんて商売も出てきそうですけど。

もったいない。もったいない。

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