大多数の人が、なんとなくのイメージで、こういう↓田園風景とか
思い浮かべちゃったりしますよね?
でもそれって、ほんとうにふるさとらしいのかなー、なんて考えたことないですよね。
正直、ずぅ~っとそこに住んでる人間にしてみると「そこにあるのが当たり前」すぎて、あんまり「ふるさとらしさ」なんてものを意識することとかって、まずありません。
いいところ、なのもそうでしょう。
素晴らしい景観なのもそのとおりでしょう。
けれど、そこには、内実がともなっているのか?
そんなところ、日本中にごろごろありますよね。
なぜ、その地域は素晴らしいのか。
どこが、その地域の良さなのか。
いっぺん考えてみることは、どこの地域にとっても非常に重要な課題です。
アタカケンタロウ建築計画事務所代表の安宅研太郎さん。テーマ自体は【建築】ですけれど、めちゃ広範な、そういうお話をしてくれました。
割と目からウロコがポロポロ落ちまくる。
そんな問題提起です。
それは、内実がある「ふるさとらしさ」なのか?
・東京ではいろんなジャンルの仕事をしている。・2008年から、遠野市附馬牛町のクイーンズメドウ・カントリーハウスの仕事に関わったのがきっかけで、遠野オフキャンパスという活動をしている。
・典型的な盆地地形で、北上川の最上流でもあることから、遠野の環境が良くなれば下流域もきれいになるので、可能性がいろいろある。
・出入り口が少ないので、何カ所か閉じれば鎖国できる(笑)
・馬産地で、その堆肥で無農薬の農業を展開して、多様な固有の生物相の環境を保ってきた風土。
・こうした生活の知恵を知る世代が、まだぎりぎり生き残っている。
・Living in National Treasureを活動テーマにしてきて、遠野は「永遠の日本のふるさと遠野」をキャッチフレーズにしているが、表面的に「ふるさとらしく」しているように見受けられる。
・内実も含めてやった方がいいんじゃないか?
・そういったテーマなどで、リサーチやワークショップみたいなことをやったりしてる。
・明治期の町屋や高原など、いろんな資源があるけど市民も知らなかったりする。
・いろんな効果はあるが、高校生が地域のことを考える機会になっているのが大きい。
言葉にするだけじゃダメ!
林:お聞きしていると、安宅さんのアプローチは、確かに建築だけでなく、ある種の風景をつくっていく、というか全体最適な仕事をされてるような気がするんですけど、冒頭で地域の沸点をさぐれ、という話で、いろんなプレイヤーがいろんなアプローチで動いていて、ここに来てくださっている人もいろいろ動いていくと思うんですけど、その中で全体最適を失わないというか、本当の「永遠の日本のふるさと」っていうものをつくっていくためのキーポイントって何だと思いますか?安宅:ビジョンって、ただ言葉にしてるだけだとかなり誤解を生むし、あまり分かりにくいところもあって、ただやっぱりクイーンズメドウは10年、20年と続いているし、すごい勢いで伊勢崎さんが実現している環境だとか。こうなっていたらいいのにっていう、遠野だけじゃなくて、日本がこうなっていたら理想的なのにな、みたいなものが少しずつできていて、そこを常に経験して確認しながら、プランニングなり実行していくっていう感じかなー、と。
林:そうなったときにたぶん、いろんなステークホルダーというか、地元の人や年齢層もバラバラで、いろんな人のいろんな意見がある。そんな中で、僕は地元の高校生の意見って、結構説得力があるかなって思うんですね。いろんな人がいろいろいう中で。次世代ですし。高校生とやってみて、思うこととか、発見っていうか、面白みってあります?
安宅:そうですね。何かを変えるっていう時に、何かのしがらみであったりとか、自分がやっていることから離れていきなり新しいものに変えるのってなかなか難しいと思うんですよ。たとえば遠野全域を無農薬家にするって言っても、ずっと農業をやってきた人に変えましょうって言うのは難しいんだけれども、高校生は、なんでそうしたほうが良いのかっていうところから理解して、じゃあどうなっていったら良いのかっていう。現実はいろいろ難しいかもしれないけれど、なったら良いなっていうビジョンを、割とスッと吸収しやすいので、そこが高校生を引き込れる意味で可能が高いうところだな、と。
林:そういういろんな立場の、特にそういう若い子どもたちの素直なというか、ピュアな意見って聞くところがありますね。最後に時間も限られてくるんですけど、いろんなことをお話してもらいましたが、このLOCAL HACK DAYSを通じて、遠野で新たな動きが加わると思うんですけど、安宅さんが、次のステップとしてやりたいことっていうのが何かあれば。
安宅:そうですね。キャンパスの延長線かどうか分からないんですけど、オフキャンパスにはいろんなことが蓄積していって、その内容を使いながら、建築の専門家としては遠野って地元の人が思っている以上に貴重で価値の高い建物が古くて素敵なものがいっぱい残っていて、外から見たら分かんないんですけど、中に入って見ると骨組みは明治でお恥ずかしいみたいな感じのことを言われるんですが、そんなことはないし、そういうものを発掘いこうと。林さんの活動なんかも含めて使っていければいいなと。
林:また後半戦でゆっくりお話を聞かせてください。
見かけ上の「らしさ」より、ブレない軸をもつ
見た目がふるさとらしいかどうかって、第一印象では大事なんですけど、しっかり向き合うようになると、とーぜんボロが出ます。観光客みたいな、ふらっときて、さっと帰る、みたいな一過性のお付き合いなら、その辺がバレることはないんでしょうけど、長期間の滞在だとか、移住となると、隠しおおせるものじゃありませんよね。
必要なのは上辺だけの「らしさ」じゃなく、本質となる「軸」であり、「核」です。
いま、全国各地で面白いことになってる地方はたくさんあります。
遠野だってそうですし、土佐山なんかもそうでしょう。
....なんか、林さんの関係してるとこばっか例に出ちゃいましたがw
そういうところは、どこも軸があります。
地域に根付いた文化であったり、精神性みたいなものであったり。その体裁はさまざまです。
そんな遠野でさえも、表面的に「ふるさとらしく」しているように見受けられる、な~んて言われちゃう世の中です。
移住者を呼び寄せようと、日本全国が「ウチはいいとこですよ?」っていうPR合戦をしてるワケですけど、そういうとことは、一線を画した、軸を持たにゃいけないんですね。
そういう本質的なところって、なかなか出しにくいものでもありますけど、すんごく大事です。
自戒をこめて。
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