ビール、皆さん好きですよねー。
↑のグラフは、酒類の販売量のグラフです。
ビールは下の濃い色のバーで、往時に比べて総量は落ち込んでいますが、日本で一番売れているのは、統計をとりはじめてから、常に首位はビールです。
...いやまぁ、私はワイン派ですけどねw
LOCAL HACk DAYSの舞台である、ここ岩手県遠野市は、ビールの原料となるホップの生産量が全国一!
地元では有名ですが、まぁ、全国的にはマイナーですよね。てゆーか、ホップそのものを見たことも聞いたこともないっすよね笑
同じ岩手県民の私でも、ホップの現物は数回しかみたことありません。
昨年渋谷ヒカリエで行われた「まちてん2015〜地方創生まちづくりEXPO〜」へ、俺が趣味でやってるプロジェクトとして出展したんですが、そのときにこの遠野でキリンと組んで行われているプロジェクトさんがご近所にブースを出していて、そのときにお知り合いになっておりました。
林さんにLOCAL HACk DAYSのお誘いを受けた時に「あ、なんか知ってる人が出とる笑笑笑」って思って、このセッションを密かに一番たのしみにして参加しました。
いや〜、皆さん読む前に先に言っちゃいます。
これ非常に面白いです!
めちゃ必読ですぜ!
テーマは【クラフト】です。
BEER EXPERIENCEを、ここで創り・発信する
このセッションは、キリン㈱ CSV推進部 絆づくり推進室の浅井隆平さんと、㈱遠野アサヒ農園 代表取締役の吉田淳史さんがスピーカー。まずは、浅井さんからのプレゼンからはじまりです。
・農業も含めた魅力とビールを掛けあわせた可能性を探っていきたい。
・キリンは遠野とホップ契約栽培をはじめて53年。
・とれたてホップ一番搾りを12年前から開発して、わが町のビールとして愛飲いただいている。
・これまでの50年と、これからの50年を見据えて、製品化する関係以上になっていくべきと考えている。
続いて吉田さんのプレゼンですー。
・遠野パドロンプロジェクトの1期生として参加したのがはじまり。
・パドロンは、スペインの伝統的なビールのおつまみ。
・日本では、枝豆という強力なライバルがいるが(笑)、枝豆以外の選択肢もあっていいのではないか。
・遠野は、ビール原料のホップの産地でもあり、おつまみのパドロンの産地でもある、ということで訴求している。
・プロジェクトの力を借りて、飲食店や大手スーパーなどで取り扱ってもらっている。
・契約栽培の供給量でいっぱいいっぱい、というところまできている。
・市内でも地道に生産者を増やしている。
・ホップ生産にも参入した。
再び浅井さんにバトンタッチ。
・吉田さんには、パドロンだけでなく、ホップも作ってもらい、コラボが深まっている。
・なぜ山梨のブドウ農家はワイナリーをやっているのに、ホップ農家はビールを作っていないのか?ということもあり、いつかブルワリーを構える!と夢を見ている。
・ホップの里からビールの里へ、「Beer Experience」という仮説を立てて、新しい活動をしている。
・ホップ農家の数は239戸→37戸と激減。遠野からホップが消える可能性も。
・ただ憂うのではなく、ホップの価値を最大化したまちづくりが遠野だからできるのではないか。
・遠野の食をホップとビールでつなぐイメージ。
・ホップ収穫祭と銘打ったビアフェスタの開催やビアツーリズムなど、遠野から日本のビアカルチャーを創り、牽引する。
・クラフトビールは、ブルーベリーを入れたり、リンゴを入れたり、原料も自由。
・地域の資源も一緒にして「遠野産○○」ではなく、「ビールの里○○」といったブランディングができる。
・ブルワリーやビアパブが市内に広がっていけば、ビールの町、ビアツーリズムがまちの産業になる。
・ビール、ホップを通じて、自分たちの暮らしたいまちをつくる。
ビールを中心に広がる文化を遠野に
林:浅井さんは妄想って言ってますけど、これは実際にやりたいですよねー。先日、アメリカのポートランドに行ってきました。ポートランドは世界で一番マイクロブルワリーの数が多い町で、まちの中に60もブルワリーがあるんですね。僕たち数日間で50種類以上飲んだんですけど....面白かったですよね。浅井:そうですね。DIY精神というか、向こうはガレージでビールをつくるのが許されていたり、ビールの中にイカスミを入れたり、本当に自由な発想でみんな楽しみながらやっていましたね。
林:吉田さんホップ農家になられてみてまだ間もないと思いますけど、ホップ農家が醸造家として、遠野のまちでお店を持ったりビールづくりに専念するっていうのは、農家としてどういう可能性を感じてらっしゃいますか?
吉田:さきほどの話にもありましたけど、ブドウ農家がワインの醸造家になるっていうのは当たり前の文化であって、そういうことを遠野のホップ生産者として、私だけじゃなく、複数人が取り組んで多種多様なビールっていうものを産んでいくことで、全国に発信していけるだろうと思っています。
林:遠野だったら、どぶろく特区をやってきた歴史があるので、日本初のビール特区みたいなものをつくってしまってですね。遠野のまちで、誰とは言いませんが、誰かの家でお手製のビールを飲んだことがあって(笑)、それが非常にね、美味しいんですよ。手作り感とかあって。アメリカのポートランドは、職人の人が醸造家!みたいな感じでやってるんじゃなくて、けっこう若い人がすごいファッショナブルに、オシャレにやってたんですよね。それがすごい新鮮で。みんなどうやってなったの?って聞いたら「もともとガレージでつくってて、近所でおいしいって評判になってビールやろうかなーみたいな感じ」で始まったって。そういう制度面のところから、例えば遠野の農家民宿とかで自家製のビールが飲めて、近所で評判になった人が店を出して、ビールを専門で作り始める。そんな夢はすごくあるな、っていう感じなんですけど。さっきの妄想を具体化しようと動いていると思いますけど、具体的にここをクリアしないと、というようなものが何かあれば。
浅井:単なるビール工場というよりは、研究所みたいなものに近いのかもしれません。そこでいろいろなアイディアを集めて、そこから新しいものを生み出していくということなので、そこには適正サイズの、皆さんが思い浮かべるようなビール工場のサイズではなくて、寸胴の鍋でかき混ぜるようなクラフト感あふれるビールの仕組みだったり、東京でも そういう店舗が増えてきているので、オール遠野の食材を使うとか、どういう意義のあるものにしていくかを考えぬくのがファーストステップかなと。
林:それを大手のキリンさんが考えてるっていうのが、僕は面白いですね。ありがとうございます(笑)。CSV(Creating Shared Value)って企業と社会がつながって、お互いがメリットのある新しい創造物をつくって行こうって仕事を専属でやってる部署ですから。まさに浅井さんが体現されようとしていることが、その象徴的な形になるのかなと思います。たぶんこの中から、ウチでもビールやってみようかな、っていう人が出てきてもおかしくないし、そういうブルワリーがどんどん出てきたら、「じゃあ私はブルワリーめぐり専門のツアー会社を立ち上げようかな」なんて人も出てくるかもしれない。ポートランドにあるんですよ!ブルワリーをめぐるだけの専門のツアー会社が。2つありましたね。
浅井:そうですね。
林:それくらいビールを中心に広がっていく産業の可能性ってあるんじゃないかなと思いますので、制度面だったり文化だったりとか、どうやって人材を育てていくかっていうことを、今は妄想って言ってますけれど、社内調整をうまくしていただいて、春ごろには具体的に遠野の市民の皆さんに発表したいなと思いますので。僕がいま勝手に申し上げましたけれど(笑)。皆さん楽しみにしててください。
行政にできない新しいワクワク
いいですね〜。さすがは日本で最初にCSV事業本部を立ち上げた会社であるキリンさん。
見ているところが、目先のことなんかを見ていない。
50年先を見据えて、遠野とのWin-Win関係をいかにつくるか。
これ、普通の会社にはできませんわ。てゆーか、行政にもできないw
むしろ、酒税法が障害になって前に進めない、ってことで障害にすらなり得る。
行政は、邪魔しないで一人前です。
ともかく、やる気のある人がどんどん前に進めるような、自由に活躍できるフィールドを用意して、「後はお好きにどーぞ」でいいんです。
好きにやれる人が、好き放題やれる。
たぶん必要なのは、こんな程度のことなんです。
行政はすぐに補助金とか作っちゃいがちなんですけど、あれはあきまへん。
基本、自立を阻害するだけなんで。
遠野に限らず、全国には、面白すぎるフィールドがたくさんあります。
こんなアホなプロジェクトとかやってるウチでは、春から林さんと組んで、もっと悪いことも始めますwww
いや〜、今からワクワクが止まりません。
気になる方は、連絡くださいw